汚いおじさんが来るところじゃない――そう罵られた老人。 しかし、彼の正体を知った瞬間、職員全員が青ざめたという。 中央銀行本店のロビーでは、上司・高波の怒鳴り声が響いていた。 その日の午前、受付カウンターに立つ新人職員・藤元和は、薄汚れたコートを着た老人に温かいお茶を差し出そうとしていた。 「お客様、確認が取れるまで、少しだけお待ちいただけますか?」 老人は小さくうなずき、「ああ、わかるよ」と答えた。 すると背後から、高波が冷たい声で言い放った。 「見ればわかるでしょう。こんな人が来る場所じゃない。」(続)
2025/11/28