
大阪駅から「いったい誰が使うんだ…?」と思わず言いたくなる“秘境駅”へ。目的地は、全国の秘境駅ランキングで第21位に入る 奈良県・生駒市の「霞ヶ丘駅」。しかも「大阪市内から1時間以内で行ける駅」としては、ランキング上位100に入る“唯一の駅”という触れ込みだ。

出発は大阪駅。環状線で鶴橋へ出て、近鉄奈良線の快速急行に乗り換える。鶴橋を出た電車は大阪府内の駅を一気に飛ばし、奈良県の生駒まで止まらない。東大阪の主要駅さえ通過していく走りっぷりに、「奈良県民のための種別」と言いたくなる。
生駒駅に着くと、目的地はさらに山の中。ここからはケーブルカーを乗り継ぐ。まず向かうのは「鳥居前駅」。ところが周囲を見渡しても鳥居が見当たらない。実は再開発で鳥居が移設され、駅名だけが歴史の名残として残ったらしい。ARで鳥居を再現できる仕掛けまであり、妙にシュールで笑ってしまう。
ケーブルカーは、犬や猫、オルガンやケーキをモチーフにした車両が走る“遊び心全開”仕様。一方で、線路の構造はやたら本格的で珍しい。複線に見える区間、ケーブルカーとしては希少な踏切、そして運転士が車両に乗らず遠隔操作している仕組みなど、鉄道としての見どころも多い。
乗り換え駅の宝山寺を経て、いよいよ霞ヶ丘駅へ。最大勾配は急角度で、車両は森の中をぐいっと登っていく。到着すると、そこにあるのは階段の上の小さなホームだけ。駅舎はなく、周囲は草と木ばかり。標高は約513mで、季節によっては冗談抜きで凍える寒さになる。

そして数字が衝撃的だ。2019年時点で、1日の利用者はわずか2人。
「こんな駅、誰が使うの?」という疑問が、本当にそのまま出てくる。けれど、見下ろす生駒の街の景色は確かに素晴らしく、ここに来た価値を感じさせる“絶景”がある。
では、なぜこんな場所に駅があるのか。結論として霞ヶ丘駅は、隣の梅屋敷駅を作ったことによる“都合”で生まれた駅だった。ケーブルカーの2つの車両が1本のロープで連動しているため、途中駅(梅屋敷)で片方が停車すると、もう片方は何もない山中で止まってしまう。
そこで「それなら、止まる場所にも駅を作ろう」と置かれたのが霞ヶ丘駅――いわば“おまけの駅”というわけだ。
その後は霞ヶ丘駅から歩いて梅屋敷駅へ。こちらは駅舎もあり、周辺には民家も見える。さらに散策すると、滝行ができる場所や、宝山寺へ通じる参道、門前町の雰囲気が広がっていく。生駒が観光地として栄え、時代の流れで盛衰していった歴史も垣間見える。

「秘境駅」を見に行ったはずが、最後にはケーブルカーの仕組み、街の変遷、山の信仰と観光の歴史まで繋がっていく。利用者は少なくても、そこに残っている理由はちゃんとある――そんな一日だった。
引用元:https://www.youtube.com/watch?v=qICg8jTyAOM,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]